おばあちゃんと犬


映画の面白さと物語性は実は関係ない。
100年ぐらい前の昔のフィルムを見てると特にそう思う。
映像が動く、っていうことが面白かった時期ってのは
確実にあったんだけど、まぁそれだけだと見るほうも
飽きちゃうので、「物語」っていう太古から続く麻薬の
軍門に下って、映像は「映画」ってやつになったわけだ。
今でも時々先祖がえりをおこして、そういう映像本来の
面白さに立ち返った映画が出て来るけど、たいていの人は
その面白さを伝えられない。
だって、映像は言葉にならないからね。

これもそんな映画。
ストーリーはないよ。
帰りのエレベータで、「結局これっておばあちゃんは強い」
っていうお話なんだよね、と言ってたカップルの女の子。
それは正しいけどそんなのはどうでもいいんだ。
ただ、変な動きやリズム感を味わう映像、であって
お話はどうでもいいんだよ。
物語性大好き!な日本人にはわかりにくいけど。
これが100万人動員できるフランス人はやっぱ理屈じゃなくて
感覚で生きてる国民性があるんだろうなぁ。

ところで、ゲームもそろそろ物語の軍門に下りつつあるけど
それでいいのだろうか。